日陶科学と歩んだかみかみセンサー開発プロジェクト

日陶科学と歩んだかみかみセンサー開発プロジェクト
飯田女子短期大学において、かみかみセンサーの販売元である日陶科学工業株式会社様の取材を受けました。

※この記事は、日陶科学工業株式会社2013年度版カタログの特集記事として掲載さてたものを、日陶科学工業株式会社の了解を得て一部編集・再構成して掲載しています。

経験を活かして養護教諭を育てる
日陶科学
講義室に、安富先生が開発されたかみかみセンサーを付けてお弁当を食べたり、かみかみセンサーの効用や咀嚼指導への活用方法などのお話を聞いたりする生徒さんたちがいました。
元気な生徒さんたちですね。

安富
いい雰囲気でしょ。意欲満々の1 年生で養護教諭を目指す学生さんたちです。

日陶科学
皆さんかみかみセンサーを付けてますね。

安富
ええ、センサーを体験する第1 回目の授業なんですよ。

日陶科学
安富先生とお話をしている間にも、あちらこちらで1000 回の咀嚼達成を知らせるメロディーが鳴っています。そのたびに歓声が起こる。生徒さんたちは噛むことを楽しんでいますね。

安富
「いい姿勢で食べるとどんどんカウントするでしょう」って声をかけるんです。
 学生さんたちが養護教諭になって食育指導をするときに、かみかみセンサーで体感した噛むことの大切さや噛み方などを、自信を持って教えられるようにこのカリキュラムを設けました。
 私は、咀嚼力に問題のある子供に気づいてから、かみかみセンサーを作り、それで調べたり教えたりしてきたことを積み重ねてきました。今までの道のりから知った、本当に見据え続けていかなければいけないことを教えていきたいんです。
 それに、養護教諭でもある私ですから、養護教諭が担わなければいけないことも教えていきたいですね。


日陶科学と歩んだかみかみセンサー開発プロジェクト
噛むことの大切さを説きつづけた歩み
日陶科学
安富先生の道のりの中で大きな一歩は、咀嚼力に問題を持つ子供の存在に気づかれた時からとか。

安富
最初の一歩でしたね。咀嚼に問題のある子供は噛む力が弱いのではという疑問と、解決には低年齢から咀嚼の意識を高める必要があると考えたところからでした。

日陶科学
そこで咬合力の測定をされたわけですね。

安富
そうです。噛む力、咬合力の低い子供は食べ方に問題があるという実態をつかみました。
翌年、赤穂南小学校で炒り大豆を毎朝スプーンに一杯食べる活動を30 日間実施しましたが、平均咬合力の上昇には目を見張りました。

日陶科学
ちょうどこの頃に「咀嚼回数測定装置」の開発が始動しましたね。

安富
駒ヶ根工業高校の高田直人先生との出会いで一気に実現の道が開けました。
高田先生と何度も試作を繰り返して完成させた装置でかみかみマシーンと名付けました。さっそく、給食一食当りの咀嚼回数測定を開始しました。貴重なデータが収集できました。
 特に驚いたことは、かみかみマシーンを付けることで、子供たちに咀嚼の意識が目覚めて時間をかけてよく噛んで食べる児童が多くなったことです。この結果は、咀嚼意識促進指導への大きな自信になりました。

日陶科学
飛躍的な一歩でしたね。

安富
 プロジェクトの立ち上げに始まり、約1年3ヵ月の取り組みになりました。子供たちや保護者、先生方のご協力をいただきながら「量産型のかみかみマシーン」が完成しました。名前もかみかみセンサーと改名しました。

日陶科学
このころに、下伊那郡の喬木第二小学校に赴任され、活動が加速されました。

安富
小学校では「よく噛む活動」への取り組みや喬木村内の保育園、小学校、中学校での咀嚼回数測定など精力的に活動しました。
村民の皆さんを対象にかみかみセンサー体験会や指導などもしました。活動が継続するようにボランティアや機関誌などの対策も施しました。
本当にかみかみセンサーと二人三脚でした。大変なこともありましたけど充実していましたね。

日陶科学
歩みつづけて今日へ。今はここ飯田女子短期大学で教鞭を執っておられるわけですが、ご心境は?

安富
噛むことの効用と活用をテーマに、もっと深く広く取り組んでいきたいです。かみかみセンサーと二人三脚で。


日陶科学と歩んだかみかみセンサー開発プロジェクト
明日へ向かう新たな歩みと5 つの目標
日陶科学
安富先生の今日までの歩みをお聞きしましたが、明日からの歩みをお聞きできますか。

安富
いろいろな目標があるんですが、現在は5 つの取り組みを始めています。

5つの取り組み
◆食育のための学校給食のメニューと 咀嚼回数の研究

◆早食いによる肥満を解消するための よく噛む習慣指導

◆老人の痴呆予防のための よく噛む習慣による効用の調査

◆咀嚼力判定用グミを使った三歳児検診 での噛めない子供の早期発見と改善

◆「かみかみセンサー」の小型軽量化

日陶科学
安富先生の今日までは、まだまだ助走にすぎないのかも知れない。これから先が、先生の本領発揮の時代になるのではないかと思えます。