平成16年設立当時の赤穂南小学校での活動

平成16年設立当時の赤穂南小学校での活動
1.炒り大豆による咬合力の改善
長年小学校で養護教諭をしていた私は、子どもたちの給食の様子を見ていて、噛めない噛まない飲み込めないといった食べ方に問題があることに気がつき、噛む力が弱いからではないかと考えました。
2年生は生活科で、校門前の畑で100kgの大豆を栽培し、味噌や納豆や豆腐を作っていましたので、私はこの大豆を分けてもらい炒り大豆を作り、子どもたちに毎日10〜15粒を1ヶ月継続して食べてもらい、10日目ごとに咬合力の測定を行いました。
すると10日目ごとに平均咬合力が上がり、1ヶ月後には、炒り大豆を食べ始める前より平均して10kgも大きくなったのです。また、初めは「炒り大豆が固くて噛めない」と言っていた子どもたちも、炒り大豆がしっかり噛めるようになり、いつも給食を残していた食べ方の遅かった子どもも、給食を時間内に食べ終えるようになりました。
子どもたちのおやつ調査では、炒り大豆を食べ始める以前に比べ、硬いものを選んで食べるようになり、児童の意識が「給食はよく噛んでゆっくり食べよう」という態度に変わってきました。

2.咀嚼回数計測装置の開発
子どもたちの噛む力を高めたり、よく噛む習慣を身に着けたりしてもらうにはどうしたらいいか考えた末、噛む回数をカウントする装置の開発を考思いつきました。それがあれば、子どもたちは給食をよく噛んで食べるのではないかと考え、いろいろなところにアプローチし、「かみかみマシーン」という咀嚼回数測定装置を駒ケ根工業高校の高田直人先生に作っていただくことができました。そして、小学校の学校給食における咀嚼回数の測定を開始しました。(詳細はかみかみマシーンの試作を参照)
子どもたちは、かみかみマシーンを着けることでよく噛む意識が芽生え、装置をつけて給食を楽しみながらよく噛んで食べるようになりました。

3.「5010運動」の推進 
かみかみマシーンによる測定の結果、子どもたちの給食一食あたりの平均咀嚼回数は1400回/25分でした。しかしこの数字は、装置をつけて給食を食べることで、意識しすぎて、普段の倍近く噛んでしまっていることから、普段の咀嚼回数を700回くらいではないかと推測しました。これを目安にして私は、今後の給食一食当たりの咀嚼回数の目標値を1000回に設定しました。そのためには20分の食事時間が必要になるので、給食時間は配膳を終えた12時50分から1時10分までは、席についてよく噛んで食べる時間にしようという「5010運動」の推進を職員会議で提案しました。
全校で取り組んだ結果、今まで早く食べて遊びに行く男子や、いつも8分で食べていた肥満の児童も、時間までは席につき以前よりよく噛む様になりました。ゆっくりよく噛んで食べることが、大事であると認識してきた子どもたちは、食事を大切にして、味わって食べる姿へと変わっていきました。そして、「ご飯がおいしい」と言い、給食を残さないようになり残飯が減ってきました。